「カラセル」について
カラセルとは、セルアニメーション独特の概念です。
タイムシート上では、× (バツ)で表示される、「何も描かれていないセル」を指します。
かつてフィルム制作の頃は、撮影所に「制作に使用したのと同じ素材で何も描かれていないセル」が一定数常備してあって、主として色調整の目的で 「1ショット内で撮影するセルの重ね枚数を一定にする。」為に使用されていました。
コンピュータ処理では、色調整のためのカラセルは必要ありませんが、人手で作画されたアニメーション原画にはタイミングの調節の為に一連のシーケンス内にカラセルが頻出します。
AEはアニメーションの専用ソフトウェアでは無いので、この「カラセル」の概念は取り入れられていません。また一連のシーケンス内に複数のIN/OUT点を設ける事はできません。(IN/OUT点はタイムラインにつき一組だけ)
現在、カラセルを実現するために、このプログラムでは5つの方式を提供しています。 それぞれの方式には一長一短があって、方式によって作業手順が少しづつ違いますので、自分の作業に合った方式を選択してください。
(1)ファイル
カラセルを実現するために「何も描かれていない画像ファイル」を各自で用意して
フッテージにするシーケンスに挿入します。
「カラセル(ファイル)」をシーケンスに加えることによって、AE(含む他の画像合成ソフト)上で
アニメーションのタイムシートと1対1 のレイヤー構成を比較的簡単に実現できます。
(余談)ネット上のサーバで、このファイルを作成する事も可能ですが…
(サイズや色深度情報を入力してサーバで作成)
…ダウンロードしたい?微妙だな。
制作システムによっては、この「カラセルファイル」が
最初から素材として用意されている場合もあると思います。
その場合は特に準備作業は必要ありません。
この方式を採った場合は、キー変換の際にカラセル挿入位置の指定をしてください。
カラセルの位置は、以下の3種類から選択してください。
カラセルなし | シーケンス内にカラセルが無い |
最初 | シーケンスの冒頭に(動画番号0として)加える |
最後 | シーケンスの末尾に(動画枚数+1番として)加える |
使用するタイムラインは「タイムリマップ」 1 本だけです。
(2)不透明度
シーケンスのカラセルに該当する部分を強制的に 「不透明度 0」 にして、カラセルの代用とします。
特にあらかじめ別のファイルを準備しておく必要はありません。
この方法を採った場合、レイヤに不透明度のキーができるので「セルのダブらし」「F.I.」「F.O.」等の 不透明度 を使用するエフェクトの処理に支障をきたす場合があります。
使用するタイムラインは 「タイムリマップ」および「不透明度」の 2 本です。
(3)リニアワイプ
リニアワイプエフェクト(実際は、ワイプ系のエフェクトならどれでも良い)のパラメータを、0/100 %で、切り換えてカラセルの代用とします。
この方法は、フッテージの基本情報であるトランスフォームにキーを作成しないので、本来の合成作業に影響を及ぼしにくい方法です。 ワイプエフェクトは複数適用することも可能なので、さらにその上からワイプをかけることもできます。
使用するタイムラインは、「タイムリマップ」「リニアワイプ」の 2 本です。
(4)エクスプレッション-1
(2) や (3) の方法は、いずれも「タイムリマップ」および「カラセル用」の2本のタイムラインにキーフレームを作って管理する必要があります。それを改善したのがこの方式です。有限会社ビーンジャムさんの公開されている方式で、アフターエフェクト5.0以降のエクスプレッション機能を使用して「スライダ制御タイムライン」 1 本でプログラム的に「タイムリマップ」および「カラセル用」の 2 本のタイムラインを制御します。 リソースとしては3本のタイムラインを必要としますが、オペレータが管理するキーは制御用の1本だけになります。
またこの方法は、「キーの値に直接動画番号を登録できる」という利点があります。 (タイムリマップのキーは、シーケンスの経過時間を実数で記録されています。クリップボード経由で取得できる値は有効数字6桁の秒数です。)
ただしこの方法には「AE4 以前の環境では無効」「他の方法に比較してリソースがやや余計にかかる」という欠点もあります。
必要なタイムラインは 「タイムリマップ」「スライダ制御」「リニアワイプ」の 3 本で、キー管理の必要なタイムラインは「スライダ制御」の 1 本のみです。
* 作業を簡略化するためにエフェクトテンプレートを用意してありますので、 よろしければダウンロードしてご使用ください。
(5)エクスプレッション-2
「不透明度-2」と呼んでもよいかと思います。試験的に採用した方式です。
エクスプレッション方式のバリエーションで「カラセル」の導入キーに数値「999999」(秒)を使用して、不透明度に適用するエクスプレッションで受け取るようにしてあります。
別に試験提供している。「エクスプレッション版りまぴん」に対応しています。
必要なタイムラインは「タイムリマップ」「不透明度」の2本です。
不透明度タイムラインには、以下のエクスプレッションを適用してください。(複写・貼り付けでどうぞ)
//
(timeRemap>=999999)? 0 : opacity;//カラセル用
//
カラセル導入キー以外の値は、本来の不透明度プロパティの値が優先されますので、不透明度タイムラインに直接キーを作る2番の方式と違って、「不透明度キーを通常作業と同様に使用できる」点が違います。運用してみて具合が良いようならレギュラーの選択肢に加える予定です。
カラセルの項目はほとんど前と変わらないので楽だったかも。 「簡単な使い方」の図版は…さてと、スタジオの宴会にゆこうかな
次号予告
「ウインドウの説明」(1)
ぎゃー、
まだ、ちょこちょことデザインが変わるような気がするー。スイッチとか位置が変わったり増えたりへったりしそー
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