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「アンチジャギツール」を羅列してみる +(プラス)


シャギシャギーン!
アンチジャギの話でもしましょうか

現在のアニメーション作成に(わりと)欠かせない処理行程として
「アンチジャギ」ってぇ処理行程があります。

「アンチジャギ」だとピンとこない人もいるでしょうか?
結構いろいろな名前で呼ばれてます。

今まで聞いたのは「アンチジャギ」「スムージング」「アンチエイリアス」「ジャギ取り」などなど。要するに画像データに処理行程であらわれてしまったシャギー(ギザギザ)状態を緩和する処理行程です。
「アニメーション作成で欠かせない処理」ともいわれていますが、実は、処理システムによっては「アンチジャギ」行程が不要なバアイもあります。ただし、その場合は中間行程で階調を失わない様に処理するのでリソースが余計にかかるケースが多いです。

私の近辺で画像処理に計算機を使い始めたのが、94〜5年くらいだったので、すでに10年ほどこの手の作業をしていますが、(…ぉう、もぉ十年めだょ) 私、実は 最近(ここ2〜3年)になって初めて「アンチジャギ」を気にし始めたのです。

何しろ 最初に使ったツールが、「線画の階調を保持する」タイプのツールだったので、「いかに、ジャギーを消すか」ではなく「いかにジャギーをださずに画像処理するか」の方が作業上の関心事だったです。

パソコン自体は、8ビット時代から使っていたので、「アンチジャギ」の存在は知っていました。が、8ビット〜16ビットCPU の頃の画像処理能力では、放送レベルのアニメーションには届かなかったので手を出しませんでしたし、いざ仕事で使い始めた時はすでに「32ビットマシンでフルカラー」だったので、(ツールも階調保持型だったし)「アンチジャギ」は、「過去の技術」だとか思ってたりして・・

フリーになって、周りを見回してみると…世間様(アニメ業界)は、アンチジャギなしではやってゆけない世界でした。

「わぉう、なんだいそりゃ! インデックスモードで画像処理するわけでもないのになんでそんなにジャギジャギなんだよ!!」とか 思ったりしたとかしないとか。

いや、判ってるんですけどね。
主力ツールが「Retas!」ですから。(びっくりマークが付くのが正式名?)
いったん画像を2値化処理してデータ量を減らしちゃったら、そりゃもう「しょうがない」んですけど…

ま、ジャギジャギの画像を納品するわけにもゆきませんので、いろいろと手尽くして「ジャギ取り」をいたします。素材の解像度が充分高ければ、アンチジャギフィルタは使わないこともありますが。

手元のツールのアンチジャギの画質を比較してみました。さて、どうかな??


今回の比較は簡単なもので、主に画質だけをみております。大量処理をした際の速度や 使い勝手等は考慮していません。作業上はそちらの方が大切なこともよくあるので、ま、このデータは、参考程度にお留め置きください。ケースバイケースってことでよろしくです。

どっこいしょ、4年ぶりにデータ追加

今回も評価は「画質のみ」です。ご参考として

試験画像データ

内緒
元画像
シチュエーションはあまり気にしないように
太めの線のキャラクターです。あまり精密な絵ではなく、単純すぎることもないので、まぁ「一般的」かなと(最近はもっと細かい絵が一般的か?)
144dpiでスキャンした もっと大きなセルの一部分です。
掲載データは、評価のためにディザをかけないで、インデックスカラーに変換してあります。
そのため、部分的に「階調飛び」や、「色相ノイズの混入」などが起きております。
スムージング方式によっては無視できない可能性もありますので、細部の評価を行う方は、ページの最後にあるリンクからフォトショップ画像をダウンロードしてご覧ください。

画像の著作権は「ねこまたや」にあります。転載や引用などは営利目的でない限り制限を設けません。営利目的のご使用の際は「ねこまたや」までご相談ください。

線画をいったんグレースケールで調整した後、2値化してAdobePhotoshopで彩色してあります。

各画像は、クリックすると別ウインドウが開いて 200% と400% サイズで表示されます。

アンチジャギその一
Retas!LITE Debut
Restas!LITE Debut

Retas!
Retas!LITE Debut [CoreRETAS LITE Ver.1.1.0J]
http://retaspro.celsys.co.jp/
エッジの2重スムージングスイッチを入れた状態で出力
仕事の上では、Retas!(Pro)は、一番よく見かけるツールです。
今回の試験に使ったのはWindows版のRetas!LITE Debute です。 サイズの出力制限があったので
分割してレンダリングたあと、再度つなぎ合わせてあります。

むーん、ま、これが標準かな。わりとキレイです。このタイプのスムージングでは、
ありがちな45度のエッジにスムージングがかからない点もおさえてあるようです。
通常のジャギ取りアルゴリズムでは、「ジャギ」なのか「カド」なのか判別がつかないので処理対象から外されてしまう2ピクセル×2ピクセルの凹みや飛び出しなどもスムージングの対象になっています。さすがにアニメーション特化ソフト(ジャギ取りとしては邪道っぽい)



アンチジャギそのニ
角滑 1回目 角滑 2回目 角滑 3回目
角滑 1回目 角滑 2回目 角滑 3回目

角滑 (かどなめ)[Ver1.0.2]
http://homepage1.nifty.com/YSS/soft/kadnam.htm
一部で有名なジャギ消しフリーソフト。作者のホームページは現在やっていないようですが、ソフトの公開は継続しておられます。Windows版のみ
処理対象フォーマットは、Windows-BMP
2008現在では、公開されておりません。

デフォルトのパラメータで処理。処理対象となるデータの差や領域が指定できる。

ためしに、同一画像に複数回の処理をかけてみました。
二度めの処理では、1度めに処理した部分が処理対象になって、なんだかノイズが立っています。3回めはさすがに処理対象からはずれたみたいでほとんど変化はありません。二度めの処理のノイズは、主に白と黒(地色と主線)の間に出ているので データの差が(デフォルト処理境界値である)90%に達してしまったためだと思います。
処理対象色を複数与えて繰り返し処理する場合は、コントラストの高い部分を、保護してやる必要があるかもしれません。
そうでない場合は、「1回だけ処理をかけるのが一番きれい」みたいです。

アンチジャギその三
kp AntiAliasing kp Smooth(beta)
koji's plugin KP AntiAliasing koji's plugin KP Smooth

Koji'sPlugin
http://micron.cside1.jp/plugin/
「AdobeAfterEffectsでアニメ野郎」様 御用達のジャギ取りプラグイン
現行バージョンと次バージョンのベータ版と両方試してみました。

KP AntiAliasing [V.1.1a] 現行版
全体的に柔らかめの画質でキレイです。ぼけあしは、Retas!よりも長め。
2ピクセル×2ピクセルの凸部はスムージング対象ですが、凹部分は処理対象からはずれるみたいです。

あと、1ピクセルの飛び出し部分(端点)は処理対象からはずれるみたいです。彩色時点のトレス線の掃除がサンプル画像程度に雑だとゴミっぽく見えます。

ただ、これを処理対象にすると、たとえば1ピクセルの点々を雪などとして描いた場合、スムージング対象になって「消され」てしまう場合もあるので、実は処理対象から外すのが常道ですよね。アニメ屋としては処理対象にしてもらってもウレシイかも。雑な仕上がりのセルを「けむにまける」から・・

KP Smooth [v0.5] 次期バージョン(β)
現行版よりも若干シャープな画質です。
1ピクセルの端点が処理対象になったみたい?
ジャギ消しのぼけあしが現行版よりも短めです。角滑やRetas!と同じくらいになりました。元のトレス線のタッチがよくでます。45度のエッジが一見スムージングされていないように見えるくらいシャープです。(スムージングかかってます。)

アンチジャギその四
1回目 2回目 3回目
特定方向のフェード1回目 2回目 3回目
スムージングフェードを追加 `ギザギザフェードを追加
スムージングフェードを追加 ギザギザフェードを追加

Corel PHOTO-PAINT 11 [Version 11.640] の「フェード効果」フィルタ
http://www.corel.com/
ペインターの発売元コレル社のグラフィックソフトパッケージ「コレルドロウグラフィックスート(CorelDRAW Graphics suite 11)」のフォトレタッチユニット。


同様のフィルタは、CorelDRAW 11 や Corel R.A.V.E. 2 等のお仲間ソフトで共通に使えるみたい。一応Webパブリッシングツールという位置づけのようで、いろいろ機能豊富です。

以前から持っていたツールですが、あまり使ってなかった。
最近バージョンアップして、いじっている内に「アンチジャギ」がついていることに初めて気がついた。調べてみたら前の版にもついてました。何時からあったんだろう?

効果の名前が、「アンチジャギ」っぽくない感じですが・・ 「特定方向のフェード」だそうです。フォトショップでいう「ぼかし」関連のメニューが「フェード」関連みたいです。その中にエッジ(色値の変化の激しい部分)を検出してエッジ方向のぼかしをかけるフィルタが入っていました。
ガウスぼかしもこのメニューに入ってます。

ヘルプによると「フェード」の定義とは

「ドロップ シャドウの周縁部のシャープ度。」

(c) 2002 Corel Corporation. All rights reserved.

だそうです、「よくわかんないよそれじゃ。」
さらに、フォトショップと同じ機能で「編集」メニューに「最終コマンドのフェード」などというアイテムもあります(ここは意味が違う)。用語の統一とれてないじゃないの。

何種類かのフェードは「レンズ(調整レイヤ相当)」としても使えるみたいです。
アンチジャギの効果としては弱めで ぼけあしは、今回チェックしたツールの中では最も短い。
曲線の途中にあらわれる 水平、垂直、45°のエッジには効果が全然かかりません。(アルゴリズムに忠実?)

このツールは、処理対象判定にかなり幅があって、複数回処理を重ねるとだんだん絵の印象が柔らかくなってゆきます。

処理の際に0〜100%のパラメータ指定ができます。
サンプルは、100%で3回処理をかけてあります。3回目以降は、ほとんどのエッジが処理対象からはずれるらしく画像の変化が見られなくなりました。

3回処理すると今回試したツールの中では、最も柔らかい感じになります。
その分ちょっと線も太め?

おまけでとして3回かけたあとの画像に
「smoothフェード(弱いぼかしか?)」をかけたもの

「ギザギザフェード」をかけたもの
を掲載します。

このくらい効果をかけると普通のジャギーはまるで見えなくなります。(細かいニュアンスもかなりオサラバですけど)


もともとフォトレタッチツールなのでたくさんの画像フォーマットに対応していたり、メインプログラムの"CorelDRAW"が、かなり立派なポストスクリプトエンジンを積んでいたりするので、コストパフォーマンスは高いです。今回はWindows版ですが、アプリケーションは、MacとハイブリッドでOSXでも走ります。
このツールは、版権とか多い現場だと使えるかも。



アンチジャギその五
LoiloSmooth
Loilo Smooth

http://loilo.tv/product/3
かつて上の方でご紹介した kp-Smoothの製品版。
当時はベータになったばかりでまだ画質の改善が望めましたが、今はこんな感じです。

ずいぶんチューニングが進んでとってもキレイな処理です。
画像は、体験版を使用しているので「透かし」が部分的に見えています。

Adobe AfterEffects用プラグイン
Windows版/Mac(ユニバーサル)版 あり


アンチジャギその六
PSOFT Anti-Alising(仮称)
PSOFT Anti-Aliasing(仮称)

http://www.psoft.co.jp/jp/
3Dソフト用のプラグインメーカーとして定評のあるPSOFTさんから 2008 2月発売予定の PSOFT Anti-Aliasing(仮称) の先行プレビュー版

これもかなりキレイ。

線の末端がちょこっと太目か?
暗線の交差位置が少し太めになる傾向があるようにみえる。

気のなるほどではないが、この傾向が強いと髪の毛の先端とかがやや「もっさり」するかも。

Adobe AfterEffects用プラグイン
Windows版



アンチジャギその七
某社のsmoothing
某社の smoothing

某社が、無償で提供してくれている自社開発プラグイン

画質高い。エッジの判定が上手な印象がある。
Adobe AfterEffects用プラグイン
Windows版/Mac(ユニバーサル)版 あり




アンチジャギその八
nekoraJAGI nekoraJAGI2
ねこら Jagi ねこら Jagi (フェード75%)

http://nekora.main.jp/soft/jagi/
ねこらさん家のJagi様

これは、AEのプラグインではなくWindows版の単独アプリです。
少し画調が硬めだと思ったら、サンプル2のように元の絵とブレンドするとよい感じかも
ちなみ処理済画像75%でノーマルモードブレンドしてあります。
単独アプリケーション
Windows版



実に4年ぶりのデータ追加更新です。
選択肢が増えるのはありがたいことだと申しておきましょう。

新しく掲載したツールは4本中 3本がAdobe AfterEffects用のプラグインです。
画質は、一長一短。
例によってこのページでは画質の比較のみしかできません。
設定可能なパラメータはすべてデフォルトのままですので、調整で画質を変更する余地はあります。

速度・価格・使用感などについてはご自分で確認ください。当方では使い込んでいませんのでコメントは避けさせていただきます。

掲載画像は、インデックスカラーのgifですが、
こちらに原版のクロップしていないpsdがあります。 もっと詳しく検分したいかたや興味のある方はどうぞ。(圧縮4.73MB)



Nekomataya/kiyo/2004
2008.01.20 「アンチジャギツール」を羅列してみる ねこまたや